人工の蜘蛛の糸を作り出せる、不可能といわれた技術を持つバイオベンチャー企業スパイバー
蜘蛛の糸は自然界で最高クラスの強度を誇る物質で、特に引っ張り強度、粘り強さにおいては非常に高い強度を持っています。
太さが同程度の鋼鉄と比べると約4~5倍の強度があり、伸縮率においても非常に高い伸縮率をもつナイロン(約30~40%)の約2倍の強さがあります、このように蜘蛛の糸は強靭な上、しなやかな物質で、人工的に作ることができれば、あらゆる技術に応用できると考えられています、そして、その技術をもったバイオベンチャー企業が山形県にあるスパイバーという会社です。
スパイバーは人工的に蜘蛛の巣を作り出すことに成功
蜘蛛の糸の生産は、生物のDNAにある遺伝子を微生物に組み込むことで実現しています、遺伝子の配列を変換し理想的なタンパク質へと変え、蜘蛛の糸を量産するときの品質を安定化させています、この遺伝子の配列を解明することは、非常に難しく、今までどの企業や機関も着目していなかったものでした。
スパイバーの量産体制
スパイバーは蜘蛛の糸の生産工場をタイに建設予定とし、2019年着工、2021年稼働を目処に商業生産に向け動き出しています、実際この工場の稼働が始まれば素材となるタンパク質はタイで大量生産し、このタンパク質は日本へ送られ、アパレルまたは工業用の工場で製品化にむけた生産が行われる予定です。
アパレル分野
スパイバーはスポーツブランドを手がけるゴールドウィンとの提携で、蜘蛛の糸をスポーツウェアに使用した試作品が作成されています、展示会等でも発表され、今後も更に多くのウェアに展開されるようです、しなやかさ、軽さ、強靭さを持つ蜘蛛の糸では、様々な環境下で着用されるウェアに最適な素材と言えそうです。
工業分野
スパイバーは自動車工場等の工業分野とも提携しており、自動車部品をはじめとして、今後、飛行機、電車、産業用機械等多くの分野で利用される可能性を秘めています、蜘蛛の糸と他の工業材料を混合させれば、新たな素材として拡張していくことも考えられています。
環境にも優しい素材
スパイバーが作る人工で作られた蜘蛛の糸は、タンパク質ということもあり環境にも非常に優しい素材です、現在主流となっている原油を原料とした樹脂製品から、多くの製品をこの蜘蛛の糸に変換させれば、大規模な環境改善になります。
このように、スパイバーが作る人工の蜘蛛の糸は、強度はもちろん世界的な環境対策に関しても一躍を担う素材となります、日本発のパラダイムシフトになるといわれている技術が、日の目を見る日が、もう間近に迫っているようです。